目的別留学案内
大学院留学(専門別)

経営管理学(Business Administration)

企業トップの経営手法を学ぶ

 企業の上層部として、経営環境の変化に適応し、競争に勝ち抜くためのかじの取り方を学ぶ学問がMBA・経営管理学。2年制のプログラムでは、1年目に経営機能の各科目(ファイナンス、会計、組織行動論、マーケティング、オペレーションズマネジメントなど)について、基礎知識を習得する。2年目は、経営戦略、会計、ファイナンス、マーケティングといった専門分野の中から自分の興味や目的に応じたものを選んで学ぶ。ゼネラルマネジメントを目指す場合は、リーダーシップ、起業論、経営倫理などが主なテーマだ。
 近年人気の分野は経営戦略。ITやインターネットの発達といった環境変化に対応すべく、新しい概念や手法が求められる。
 このほか、ITやバイオ関連のベンチャー企業が注目を集めていることもあり、起業論の人気も高い。企業が繁栄を続けるには強力なリーダーが必要という認識の下、リーダーシップ論も人気だ。

財務/管理会計(Financial and Managerial Accounting)

業績評価と戦略策定を支援

 企業の業績を評価するための財務データを収集、整理して経営に役立てる学問が財務・管理会計。日本でいう会計学(アカウンティング)だ。外部の投資家が経営陣と経営戦略、業績を監視する上で、重要な指標を提供する。内部での業績評価や経営戦略の策定という視点からも、その役割は大きい。
 アカウンティングは、外部利害関係者に企業活動の情報開示を行うための財務会計と、企業内部の業績を評価し、収益構造を見直すための管理会計とに大別される。
 財務会計は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書という3つの柱で構成される財務諸表を通して、企業などの組織の真実価値を開示することが目的。財務諸表は各国の会計基準に従って作成されるが、日本の会計基準も世界標準に近づきつつあり、海外でアカウンティングを学んだ人材へのニーズは高い。管理会計のプログラムでは、原価計算や損益分岐点分析などを学ぶ。

人材/組織管理(Human Resource and Organizational Management)

人材と組織を最適化する

「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という4大経営資源の中で、特に「ヒト」に着目するのが人材・組織管理。扱う学問領域は人的資源管理と組織行動学の2つに分かれる。
 前者は人材の育成と活用法、モチベーションを高める人事評価や賃金制度などを研究するもの。働く人のやる気につながるインセンティブをどう与え、どのように能力を開発するかをテーマに、公平な人事評価、納得性の高い賃金体系などを追求する。
 後者は個人や集団、組織における人間行動のメカニズムが主要テーマだ。社会学や心理学の部門と共同でプログラムを提供している大学院もあり、そこでは社会学と心理学の理論や手法とともに経営学を学び、組織に関連する専門知識とスキルを身につける。
 現場の人材管理では、人的資源管理と組織行動学の視点をうまく組み合わせた施策が必要だ。労使関係の視点で、団体交渉、労働法、世界の労働研究などを学ぶプログラムもある。

マーケティング(Marketing)

消費者ニーズをとらえる

 マーケティングとは、顧客(消費者)に対して製品やサービスをより多く販売するための戦略を立案、実施、管理、評価すること。顧客のニーズをとらえ、商品化し、企業の繁栄につなげるための仕組みづくりといえる。
 企業から見ると、マーケティング戦略の立案が最も重要だ。ひと口に立案といっても、「環境分析と市場機会の発見」「市場細分化」「目標の特定」「競合製品との差別化」「目標達成のための手段の組み合わせ」「実行と評価」といういくつかのステージから成り、さまざまな制約と直面しながら最適の方法を探る。
 実践志向の取り組みが多く、必修科目で、マーケティング計画、戦略、消費者行動、商品流通、販売促進、価格戦略などを幅広く学び、ケースメソッドを通してマーケティングにおける意思決定能力を身につける。関連の専門科目には、販売活動のマーケティング、広告マネジメント、消費者行動など多種多様な科目がある。

MOT・技術経営(Management of Technology)

理工学とビジネスを結ぶ

 企業の発展を目標とし、現在の技術力や将来の技術開発をどう利用していくかを考察するのがMOT・技術経営だ。大学の工学やIT関連の学部とビジネススクールが共同でプログラムを開発することが多い。もともとはMBAの専門領域のひとつだったが、近年は独立したプログラムとして発展している。
 大学院レベルのものが大半で、学部で工学を専攻した学生だけでなく、ビジネス、自然科学、数学、経済学などさまざまなバックグラウンドを持つ学生が学んでいる。技術主導型のイノベーションを理解し、それを管理、運用する知識やスキルの習得を目指す。
 必修科目では、MOT、会計学、経営経済学、マーケティング、オペレーションズマネジメント、統計学など、経営面の知識を広く学んでいく。選択科目には遺伝子工学や薬学、ナノテクノロジーなど最新技術を学ぶものや、金融、リーダーシップなど経営面の知識を深める科目が多い。

経済学(Economics)

多様な経済的事象を研究

 経済学とは、社会全般の経済活動を対象に、価値の創出と分配の有効性を研究する学問。新古典派経済学、新自由主義やマネタリズムにつながるシカゴ学派、有効需要の原理で知られるケインズ経済学、産業組織論においてシカゴ学派と対峙するハーバード学派、ケインズ経済学にミクロ経済学の視点を加えた新ケインズ派経済学など、多種多様な立場がある。政治学や社会学、人類学などと関連した、学際的な研究も増えている。
 経済学の扱う領域には、マクロ経済学とミクロ経済学の2大理論のほか、国際経済学、労働経済学、計量経済学、開発経済学、環境経済学などがあり、専攻は細分化されている。金融経済学の理論を背景に、資産運用やリスクヘッジなどを工学的に研究する金融工学も注目されている。
 アメリカでは博士号取得を目指すプログラムが多い。イギリスやオーストラリアでは修士号プログラムも多数提供されている。

法学(Law)

LL.M.プログラムが人気

 大学院レベルの法学教育はロースクール(Law School)で行われている。アメリカでは、法律家を養成する3年間のJD(Juris Doctor)プログラムが中心だ。学部の専攻は問わず、法学を基礎から学ぶ。これとは別に、通常1年間のLL.M.(Master of Law)プログラムがあり、学部で法学を専攻した学生が対象。日本人がアメリカのロースクールに留学する場合は、後者に入学するのが一般的だ。大学の法学部を卒業しているか、法曹資格を持っていることが出願条件となる。学生のバックグラウンドは、弁護士、外交官僚、ビジネスパーソンなど多様だ。
 なお、イギリスなどの大学では、LL.M.はDepartment of LawやFaculty of Lawで開設している。
 留学生向けに英米法を概観する科目を用意しているプログラムもある。国際法、税法、環境法、行政法など、大学によって強い分野が異なるので、教育内容をよく確認したい。

国際関係学(International Relations)

国際問題の解決を模索する

 国際関係学は国家間、地域間の問題に政治・経済・文化・歴史的側面からアプローチし、解決法を探る学問だ。紛争解決や安全保障、開発援助、難民、人口問題、環境問題など、国家を超えて国際社会全体で取り組むべき問題も多く、国際政治、国際経済、国際法に加えて、経営学、コミュニケーション論、文化人類学、地域研究など幅広い分野からの学際的なアプローチが欠かせない領域となっている。
 大学院では修士号プログラムが中心で、外交官、政府や軍からの派遣、ジャーナリスト、NPO/NGO関係者など、多様なバックグラウンドを持つ学生が学んでいる。
 国際関係学の研究が進んでいるのはアメリカ、イギリス。アメリカは行政や政策面を重視し、実践的な教育内容が特徴。統計学などを用いた数量的なアプローチも盛んだ。イギリスは理論・研究志向で、国際問題に関する広範な知識が得られる。オーストラリアは環太平洋地域の研究に力を入れている。

公共政策学/NGOマネジメント(Public Policy / NGO Management)

政策立案のプロを目指す

 公共政策学とは、公共政策の立案や実施、評価を研究する学問。修士号プログラムが中心で、政府や地方公共団体をはじめ、電気・ガス・水道といった社会インフラ企業からの派遣生が多い。修士号プログラムではまず、政府や地方公共団体の構造を研究し、政策理論や分析方法、財政管理などを学び、その後、経済、社会、地域、人口、環境、教育など個々の政策について研究を深める。研究者を目指す博士号プログラムもある。
 近年、国際政策学という専攻が発達し、国際開発、安全保障、環境・資源問題などに関する政策を多面的に研究している。異なる国の大学が協力し、ジョイントディグリープログラムを提供する動きもある。
 NGOマネジメントは、国際貢献、医療、福祉、環境などの分野で近年注目を集めるNGO(非政府組織)のマネジメントを専門的に学ぶもの。経営学や公共政策・行政学を基盤に専門知識を深めていく。

開発学(Development Studies)

途上国の開発に取り組む

 開発学は、開発途上国が抱えるさまざまな問題の解決を目指す学問だ。政治、経済、社会といった核になる基礎知識を固めた後、政治、経済、環境、農業、教育、ジェンダー、公衆衛生など、各領域から問題を理解し、分析し、その解決に取り組む。
 大学院では修士号プログラムが中心で、国際機関やNGO/NPOで開発問題に当たる専門家を育成する。研究のアプローチはさまざまで、開発問題に関する理論や政策を研究するものや、開発計画の立案、実施、評価までの実践的な手法を学ぶものがある。フィールドワークを組み入れたプログラムも多い。
 イギリスの修士号プログラムは1年間が中心。ジェンダー、教育など開発の特定分野を学ぶもの、広く一般的な開発学の知識を身につけるものなど、それぞれ特徴があるのでプログラム選びは慎重に。アメリカのプログラムは通常2年間。国際関係学、公共政策学、行政学の一研究分野として位置づけられていることが多い。

平和学/危機管理学(Peace Studies / Risk Management)

平和で安全な社会を追求

 紛争が複雑化するとともに、平和学や紛争解決学といった学問が脚光を浴びている。平和学は貧困や差別、暴力のない状態(積極的平和)を、紛争解決学は戦争や紛争のない状態(消極的平和)を目指すものだが、重なる部分も多い。そのため、プログラムを個別に設けている大学もあれば、統合したプログラムを提供する大学もある。
 プログラムは暴力のルーツ、戦争の原因、平和のための戦争と正義、非暴力主義など平和学の理論的な枠組みを学んだ上で、平和構築の手段、冷戦後の世界、南北問題、平和運動、国際協力など広い視野から平和の実現を追求する。北アイルランド、インド、中東などの民族紛争を事例に学ぶこともある。
 危機管理学は地震や津波などの自然災害や局地的なテロ攻撃など、身近な危機への対応策を探る学問。危機にどう対応するかを重視する。公的機関や民間企業、NPOなどで危機管理の専門職を目指す人が多く学んでいる。

環境学(Environmental Studies)

地球環境の保全を考える

 環境学のプログラムは地学・理学系(エネルギー・天然資源、大気、水質、地質、森林、海洋、気象、生態系など)、工学系(都市・農村開発、景観デザイン、科学・産業技術など)、社会科学系(経済、政策、教育、公衆衛生など)と、さまざまだ。
 地学・理学系のプログラムは、自然に恵まれたカナダやオーストラリアで研究が進んでいる。海洋学、生態学、森林学など、地球資源や環境保護に関する研究が強い。生態学は単独でも専攻でき、多くのプログラムで必修科目となっている。進化・行動生態学、群集生態学、生態系生態学など多様な領域があり、景観生態学や保全生態学も注目されている。
 社会科学系と地学・理学系の双方を学ぶプログラムでは、環境に関する包括的な知識が身につく。環境政策、資源と経済学、環境分析と統計学、地理学的手法などを学んだ後、国際経済学、人口増加、環境政策、大気汚染、廃棄物と資源再生などから環境学を学ぶ。

ホスピタリティー(Hospitality)

高度な専門知識を習得

 ホスピタリティーはホテルやレストラン、旅行業、観光業などにおけるサービスや経営手法を学ぶ学問で、世界的に有名なホテル学校を持つスイスをはじめ、オーストラリアやヨーロッパなどで数多くのプログラムが設置されている。プログラムは専門学校レベルから大学院レベルまでさまざまなものがあるが、学部レベル以上になると、ホスピタリティー産業で必要とされるマネージャーの育成が主眼となる。大学院では企業としての運営面を重視し、学ぶ内容も高度になる。
 具体的には、講義やセミナー、グループワーク、ワークショップ、個人的な研究などを通して、ホスピタリティー産業における人材育成や顧客サービスなどについて学ぶ。ファイナンスやマーケティング、施設管理についても専門知識を身につける。一流ホテルでの実習が組み込まれることも多い。国際的な視野に立ったホテル運営などを学ぶ、国際ホスピタリティーマネジメントといった専攻もある。

社会福祉学/ソーシャルワーク(Social Welfare / Social Work)

社会福祉のプロを目指す

 社会福祉とは生活や教育、健康に関する人々のニーズを満たすために、国や地方公共団体が提供するさまざまな援助やサービスのこと。社会福祉について研究するのが社会福祉学、社会福祉学の理念や研究成果を前提に、これを実践していくのがソーシャルワークだが、実際の線引きはあいまいな部分も多い。
 修士号プログラムは通常2年間で、1年目に基礎科目を習得し、2年目に自分の専門分野を学ぶ。専門領域は、研究の対象(乳幼児、成人、障害者、女性、マイノリティー、地域、家族など)とテーマ(福祉制度、福祉政策の立案・評価、貧困対策、犯罪抑制など)によって分けられる。大学院の学生はほとんどが現場での実務経験を持っており、授業もケーススタディが中心なので、留学前に社会福祉に関するなんらかの経験をしておきたい。
 社会福祉の運営面に重点を置いたHealth Service Administrationなどのプログラムも人気だ。

ジャーナリズム(Journalism)

国際ジャーナリストを育成

 コミュニケーション学は、他者とコミュニケーションをする際の人間の行動や心理を観察、分析していく学問。ジャーナリズムの研究・教育は、コミュニケーション学の一領域として発達した。世界で起こるさまざまな出来事を、新聞、テレビ、雑誌、インターネットなどを通じて人々に伝える人材を育成する。
 世界を舞台に活躍を目指す学生が多く学んでおり、プログラム内容は非常にシビアだ。教授陣は第一線で活躍しているプロフェッショナルが多く、卒業後すぐに活躍できる力をつけさせるため、課題はテーマの内容や着眼点、表現力、締め切りを守るスケジュール管理能力までを含めて、厳しく指導する。
 専門分野は放送、新聞、雑誌など媒体ごとに分かれていることが多く、経済、ビジネス、環境、科学など、扱う情報ごとに細分化されたプログラムもある。大学やプログラムごとに個性があるので、関心のある専門分野や教授陣についてよく調べよう。

美術史/博物館学(History of Art / Museum Studies)

美術を扱うプロを目指して

 美術史では絵画や彫刻から、建築やファッション、写真、映画までを対象に、その歴史と文化的な背景を学ぶ。視覚や聴覚、触覚を通して情報を伝達するものはすべて美術史の研究対象と考えられており、各時代の政治経済や社会、メディアなどとの関連も考察する。
 大学院プログラムでは大量の文献を読破し、批評やライティング、プレゼンテーション力を身につける。かなり高度な英語力が要求され、特定の国や地域の美術を研究する場合は、そこで使われる言語の理解も必要だ。設置科目は時代別(ルネサンス美術など)、地域別(アジアの美術など)、対象別(女性とアートなど)のものがある。
 美術館や博物館に勤務する学芸員や専門スタッフを対象とするのが、博物館学。美術館や博物館の歴史や理論を研究するMuseologyと、実際に美術館や博物館を運営するための知識・スキルを学ぶMuseographyがある。インターンシップや実習も重要な学習の機会となる。

デザイン(Design)

最先端のデザインを習得

 この分野はコミュニケーションデザイン、産業デザイン、空間デザインの3つに分かれる。コミュニケーションデザインはグラフィックデザイン、イラストレーション、広告デザインなど、産業デザインはプロダクトデザイン、ファッションデザイン、パッケージデザインなど、空間デザインはインテリアデザイン、建築、環境デザインなどを指す。
 大学院ではデザイン技法とともに、デザインに関する理論・専門知識を身につける。どの専門分野でも美学、デザインの基礎、比較デザイン、情報デザインなどが必修になっていることが多い。デジタル技術は現代のデザインに多大な影響を与えているため、デジタル技術の理解と習得も欠かせない要素だ。
 イギリスではチュートリアル教育を通じて、マンツーマンによるきめ細かな指導が行われる。アメリカでは実践的な授業が多く、ワークショップなどを通じて、企画力、プレゼンテーション能力も身につける。

アートマネジメント(Art Management)

アートの経営手法を学ぶ

 ギャラリーの運営、劇場経営、美術教育の実施など、アートに関するさまざまな活動のマネジメントを学ぶアートマネジメントも、近年注目されている専攻分野だ。
 ビジネス関連では、財務分析、応用経済分析、マーケティング、人的資源管理などの科目を履修。クリエイティブ産業の構造とシステム、クリエイティブ産業のための戦略的プランニング、アートのマーケティングと広報、資金調達などの科目を学び、ビジネスの視点からアートにアプローチする。
 さらに、ビジネスと並行して、展示管理と博物館運営、パフォーミングアーツのマネジメント、データベースの理論の実践、インターネット戦略など、専門性の高い科目を履修し、アートマネージャーに必要な実践力を養っていく。著作権などの権利問題、各種契約など、法律に関する知識の習得も必須とされている。展示や運営の現場での実習を盛り込んだ実践的なプログラムも多い。

教育学(Education)

教育の多面性に対応

 海外の教育学プログラムは実践的だ。各教科の指導法、カリキュラム設計、クラス運営、教材開発、評価、多文化教育に加え、情報教育やメディアリテラシー教育の研究も進んでいる。
 研究も学際化が進んでおり、経済学、コミュニケーション学、社会学、コンピューター、経営管理など、さまざまな学問と連携した研究が盛ん。学校心理学やスクールカウンセリングも人気だ。
 教育学を海外で学ぶ場合、海外で教師を目指す場合と、すでに教師として働いている人がステップアップを目指す場合とがある。実際には、日本から教育学の大学院プログラムに留学する人の多くが、教育現場で働く人たちだ。帰国後、教育行政や教育プログラムの管理に携わる人もいる。

英語教授法(TESOL)

英語教師を目指すなら

 TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)とは、英語を母語としない人々に英語を指導する教授法のこと。TEFL(Teaching English as a Foreign Language)と呼ばれることもある。ちなみに、TESL(Teaching English as a Second Language)は移民を対象にした英語教育を指す。
 英語教授法のプログラムは教育学系の学部で提供される場合と、言語学系の学部で提供される場合がある。どちらも第二言語の習得理論、音声学、音韻学などを学ぶが、実践重視のプログラムでは実際の授業を意識した科目が多い。
 アメリカの大学院では基礎知識のない学生も受け入れることが多いが、イギリスやオーストラリアでは教員経験が求められることもある。

言語学/応用言語学(Linguistics/Applied Linguistics)

言語を学問として分析

 主に人間の話し言葉を対象とし、言語の構造や規則性、運用方法などを研究するのが言語学。まず音声学、統語論、意味論、語用論、語彙論、言語能力、言語運用など各分野の基礎理論と主要な理論(ソシュール、サピア、チョムスキーなど)を学んでから、自分の興味・関心に合ったテーマを掘り下げていく。
 応用言語学は言語の習得や言語教育をテーマに、言語学の理論を言語習得に応用していくもの。翻訳・通訳や国語教育、コンピューター言語の開発、TESOL・英語教授法などを1プログラムとして提供している大学院も多い。
 隣接分野との学際化も進んでおり、心理言語学、神経言語学、臨床言語学などがある。

翻訳・通訳(Translation and Interpretation)

高度な技術を実践的に習得

 翻訳・通訳とは、その名のとおりプロの翻訳者や通訳者を育成するプログラムのこと。どちらかの言語のネイティブスピーカーであり、かつ他方の言語力も相当高い人が対象だ。英語を母語としない日本人の場合、TOEFL iBT 100、IELTS 7.0以上のスコアが要求される。
 日英・英日の翻訳・通訳プログラムはオーストラリアの大学院に多い。実践的なトレーニングを主体に、プロの翻訳・通訳に必要な高度なスキルを習得していく。
 実際のプログラムは翻訳と通訳の両方を学ぶものと、いずれかに特化したものがある。翻訳者・通訳者養成は重視せず、2つの言語を比較、研究する応用言語学的アプローチをとるものもある。

看護学/医学(Nursing / Medicine)

徹底した実践教育を推進

 アメリカの大学院で看護学を学ぶ場合、修士号プログラムの履修期間は通常1年半?2年。徹底した実践教育が施され、最新の研究成果が常にカリキュラムに反映されている。
 修士号プログラムで学ぶ学生は、そのほとんどが正看護師(Registered Nurse)の有資格者。資格がないと入学できないプログラムもある。
 アメリカの大学院で医学を学び、医師免許の取得を目指す場合、メディカルスクール(Medical School)の4年間のMD(Doctor of Medicine)プログラムで学ぶ。最初の2年間で基礎医学、続く2年間で臨床医学を学び、臨床実習を経験する。入学するには、認定校(アメリカ国内の特定の大学)で取得した学士号が必要。

公衆衛生学(Public Health)

地域社会の健康増進を担う

 公衆衛生学は疾病予防、感染症対策、保健教育、福祉、衛生行政、医療制度、社会保障などを対象に研究するもので、母子保健、成人保健、高齢者の保健、地域保健、学校保健などさまざまなカテゴリーがある。
 修士号プログラムでは、保健政策、保健財政とマネジメント、保健経済学、結果評価、慢性病、児童と女性の健康、保健推進、遺伝学、栄養学、開発途上国の健康問題、薬学など、幅広い科目が設置されている。実習が必修となっているプログラムも多い。
 修士号プログラムの学生は、エイズなど特定の疾病や感染症対策の専門家や、地域の保健行政に携わる人が多い。研究者を養成する博士号プログラムも充実している。

心理学/臨床心理学(Psychology/Clinical Psychology)

人間心理を解き明かす

 心理学は認知心理学、発達心理学、教育心理学、臨床心理学など、研究の細分化が進む。大学院では実験を中心に、人間の感覚や知覚を扱う実験心理学が盛んで、人間の認知行動を対象に、脳と心の関係を探る認知心理学が主流だ。
 一方、臨床心理学は精神疾患や精神障害を抱える患者の治療・ケアを目的とし、精神の構造から疾病の原因や治療法、対処法を考える。
 アメリカでは博士号プログラムが中心だが、特定分野のカウンセリングを専門に扱う修士号プログラムもある。イギリスには専門領域別の修士号プログラムも多い。
 なお、アメリカの場合、心理学の関連分野は一部資格制。開業するには国家・州の試験に合格した上、実務経験が必要だ。

生命科学(Life Science)

バイオ技術で注目の分野

 生命科学では遺伝子レベルの研究から地球規模のエコシステムまで、幅広い分野を扱う。最近はバイオテクノロジーの発展が目覚ましく、遺伝子工学(遺伝子組み換え技術など)、細胞工学(抗体産出細胞をがん治療に役立てるなど)、発生工学(受精卵や胚からの個体発生、クローン研究など)といった研究が盛んだ。
 大学院では博士号プログラムが主流だが、実践的、工学的な研究・教育を行う領域では修士号プログラムも開設されている。研究の細分化を背景に、生化学、分子生物学、発達生物学、遺伝子生物学など、プログラムも多くが専攻別に分かれている。
 生命科学、医学、工学などが連携した、学際的なプロジェクトを実施する大学院もある。

神経科学(Neuroscience)

神経システムから脳に迫る

 神経科学はヒトを含む動物の中枢・末梢神経を対象に、そのシステムをさまざまなアプローチから研究する学問。脳の研究を中心に細分化が進み、理論神経科学、認知神経科学、神経形態学、神経生理学、行動神経科学などのプログラムが確立されている。
 プログラムを開設しているのは生物学部、メディカルスクールなど。博士号プログラムが中心で、最初に中枢神経生理学、分子神経生物学などの基礎科目とともに生化学など関連科目の知識を習得し、その後、個々の研究を進めていく。
 研究テーマは知覚や行動に関するもの(痛みや睡眠など)、障害や病気に関するもの(アルツハイマー、脳しゅよう、脳性まひなど)など、大学によってさまざまだ。

情報科学/通信科学(Information Science/Telecommunications)

IT技術の可能性を追求

 情報科学では情報の収集、整理、検索、発信など、情報のさまざまな形態に着目し、人間や組織との関係を研究する。情報工学は特に情報技術に注目して研究・教育を進める。通信科学はもともとテレビやラジオ、電話などが研究対象だったが、現在はインターネットやネットワークに関する研究が盛んだ。
 大学院には実践的な修士号プログラムが多い。情報科学ではコンピューターと情報技術の原理、情報セキュリティーなどを学ぶ。通信科学では通信科学の原理、通信システムの構築と分析、通信プロトコルなどを学ぶ。2つを融合した研究も増え、情報システムの社会的・文化的側面、使いやすい情報システムの構築、情報の製品化などが柱となっている。

システム工学/安全工学(System Engineering/Safety Engineering)

システムの信頼性を高める

 ATMや飛行機の運航、原子力発電など、現代の暮らしは多くのシステムの安定性に支えられている。システム工学はこうした大規模システムから、企業や公共団体のシステムまで、ビジネスと技術の両面から安定したシステムの運用と維持を目指す。
 安全工学はシステム工学の一分野として発展したもので、保全や危機回避に関する手法を学び、安全なシステム運営を目指す。
 大学院には修士号プログラムが多数設置されており、現場のプロジェクトマネージャーやエンジニアが高度な専門知識・スキルを求めて入学する。システムの原理、システム設計など、システム工学を基礎から学ぶが、全般にケーススタディ重視で実践的な研究が行われている。

数学/応用数学(Mathematics/Applied Mathematics)

学際的な研究も発達

 情報技術の進歩とともに、数学の研究も複雑化している。コンピューターに頼るような、壮大な演算を行う研究も増えた。
 純粋数学を専攻すると、専門領域とともに、代数学、幾何学、解析学、数理論理学など基礎科目を幅広く学ぶ。純粋数学のプログラムは博士号取得を目指すものがほとんどだ。
 一方、応用数学では、組み合わせ論、理論物理学、宇宙物理学、数値解析、統計学、コンピューター理論など幅広い知識を得る。一般に基礎的な解析学や確率論、線形代数、複素変数、微分・偏微分方程式などを学んでから、自分のテーマを追究する。
 アメリカには金融系企業やNASAなどでのインターンシップをプログラムに組み込む大学院もある。

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